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2021.4.30 Fri
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【助成金】「産業雇用安定助成金」とは?「雇用シェア」拡大へ向けた支援制度・申請編

「人材余剰企業」から「人材不足企業」への従業員の一時的な出向によって、双方の問題を解消しようという「雇用シェア」拡大の流れを受け、国を挙げた支援が開始された「産業雇用安定助成金」。

前回コラムでは「産業雇用安定助成金」の申請にあたり、どのような点が要件として挙げられているのかについて触れていきました。

 
前回コラム:【助成金】「産業雇用安定助成金」とは?「雇用シェア」拡大へ向けた支援制度・要件編
 

今回は「産業雇用安定助成金」の具体的な支給額や申請の流れ、実際に受け取るまでのプロセスなどについて解説していきます。

 

「産業雇用安定助成金」の支給額と要件

経費の対象は2種類・「出向運営経費」と「出向初期経費」

「産業雇用安定助成金」の対象となる経費は、従業員の賃金支払いに関連する「出向運営経費」と出向準備に伴って発生する「出向初期経費」の2種類となります。

「出向運営経費」には、従業員に支払う給与等の賃金のほか、労務や人事に関わる出費、出向先事業所で働く上で必要となった教育訓練にあてられた費用も該当します。
「出向初期経費」は、出向に際して新たに必要な労働契約書の作成費用、働く際に必要な制服や事務用品等の備品購入費、また準備として必要となった教育に関する費用などが該当します。

■ 賃金支払いなどの「出向運営経費」・1日1人あたり 上限12,000円

「出向運営経費」の支給額は、1日1人あたり上限を12,000円とし、原則折半という形で双方に支払われます。

折半とはいえ、実際に支給される額については、出向契約の中での人件費などの負担割合を参照しますので、かかった経費に対し「どちらか一方が少ない割合の支給額になる」というようなことはありません。

■ 準備にかかる「出向初期経費」・1人あたり 10万円

「出向初期経費」の支給額は、1人あたり10万円の定額支給となっており出向元・出向先にそれぞれ支払われます。

また、出向初期費用には、一定要件を満たすことで1人あたり5万円の加算を受けられる場合もあります。
加算の要件は以下の通りです。

・出向元 ⇒ 雇用過剰業種の企業・生産量要件が一定程度悪化した企業
・出向先 ⇒ 労働者を異業種から受け入れる場合

特定の業種によって著しく業績が悪化している背景から、「産業雇用安定助成金」ではそうした業種の企業をバックアップするため、加算要件として組み込まれています。

 

申請の方法は?支払いはいつ?受給までの流れ

1・「出向計画届」の提出

申請には、まず「出向計画届」の提出が必要となります。
出向契約書の作成・労働組合などとの協定・出向予定者との同意を終え、出向元・出向先ともに「出向計画届」を作成し、労働局やハローワークなど各地域指定の窓口へと提出します。

「出向計画届」の提出期間は、出向開始日の前日(可能であれば2週間前)までとなっています。

上記のほか、調書や申出書など準備が必要な書類もあり、申請書様式は厚生労働省ホームページよりダウンロードが可能です。
各地域の窓口についても併せて案内されていますので、ご参照ください。
申請はオンラインのほか、郵送にも対応しております。

出典:厚生労働省ホームページ 「産業雇用安定助成金」のご案内
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page06_00001.html

 

「出向計画届」の提出後は、要件に適しているかの確認が行われ、支給対象として認められれば「産業雇用安定助成金」の範囲内での出向実施となります。
この時点ではあくまでも「産業雇用安定助成金」の要件に当てはまるかの確認が終了した段階となり、要約すると助成金利用の権利を取得する行程であると言えるでしょう。

具体的な支給は出向から一定期間が経過してからとなるため、緊急性が高い場合には支給までの期間を見越した早めの準備などが必要です。

2・支給申請 出向開始1ヶ月以上から

「産業雇用安定助成金」の支給申請、つまり、かかった経費に対しての支払い手続きは出向開始1ヶ月以上~6ヶ月となっています。

申請は期間内であれば任意の単位で可能となっており、数ヶ月分をまとめて申請することも認められています。

また「産業雇用安定助成金」の創設以前に在籍型出向を実施している企業についても、令和3年1月1日以降の期間については申請可能となっています。

注意点:支給までの期間を想定した早めの申請を

「産業雇用安定助成金」申請のステップは、1・「出向計画届」での事前申請、2・出向開始後の経費の申請 の2つに分けられます。
マッチングから実際の支払い開始までの期間を想定すると、早くとも1ヶ月半~2ヶ月またはそれ以上の期間を要する可能性があるため、「産業雇用安定助成金」の申請を前提に「在籍型出向」を検討する場合には、早めの準備が必要であると言えます。

 

まとめ:時代にフィットした助成金 使い方次第で企業成長にも有効な制度

本シリーズでは新しい形の「在籍型出向」を利用した制度「産業雇用安定助成金」の概要、申請方法や流れについて解説してまいりました。

未だ新型コロナウィルスの影響がその不安の影を残す中、多くの企業の希望へと繋がるきっかけとなるのか、今後の広がりに注目したいところです。
また前回コラムでもお話ししたように、「在籍型出向」は雇用が不安定な現代だけではなく、今後新たな企業連携の手法としても脚光を浴びる取り組みの一つであると言えるでしょう。

本コラムでは今後もこうした助成金、給付金、行政の取り組みや雇用に関する情報などを、発信していきます。
弊社の取り組みが、多くの企業様や労働者の未来に役立つキッカケとなれば幸いです。