シリーズ第3回/求職者の『不』を解決しよう|キーワードは「自分らしさ」。成長意欲×キャリア形成が長期活躍のカギに。
新卒の『 3年離職率 』は 30%代
長期活躍を期待し、採用した新卒学生。ですが「3年離職率」という言葉が示す通り、早期離職を選ぶ若手が少なくありません。
そこで、今回は新卒学生の「不」に注目し、考察します。
一般的に「3年離職率」は、厚生労働省の調査における「新規学卒就職者の離職状況」のうち3年以内に仕事を辞めた人の割合を指します。
昨年10月に発表された「3月新規学卒者における就職者・離職者」の同調査では、
◆平成30年(2018年)に入社した社員の離職率
<高校卒>36.9% ※前年より-2.6%
・入社1年目(平成30年に退職)16.9%
・入社2年目(平成31年/令和元年に退職)11.9%
・入社3年目(令和2年に退職)8.1%
<大学卒>31.2% ※前年より-1.6%
・入社1年目(平成30年に退職)11.6%
・入社2年目(平成31年/令和元年に退職)11.3%
・入社3年目(令和2年に退職)8.3%
と、平成29年(2017年)入社よりもやや減少していましたが、ほぼ横ばいと言えます。
せっかく新卒学生を迎え入れても、早期退職となってしまうことは防ぎたいもの。コミュニケーションや教育面など、様々な取り組みを通じて離職防止に努めています。
離職を防止する一つのヒントとして、「新入社員が何を望んでいるか?」を考えてみましょう。
2020年代の新卒学生が大切にする価値観とは
独立行政法人労働政策研究・研修機構「若年者のキャリアと企業による雇用管理の現状」から、初職離職理由の上位を離職年数で見てみると、
◆1年未満で退職
<男性>
・労働時間、休日、休暇の条件がよくなかった:37.6%
・仕事が自分に合わない:36.8%
・人間関係がよくなかった:29.1%
<女性>
・人間関係がよくなかった:40.4%
・仕事が自分に合わない:35.0%
・労働時間、休日、休暇の条件がよくなかった:34.1%
◆1年以上~3年未満で離職
<男性>
・労働時間、休日、休暇の条件がよくなかった:31.9%
・仕事が自分に合わない:27.8%
・賃金の条件がよくなかった:25.0%
<女性>
・労働時間、休日、休暇の条件がよくなかった:32.1%
・人間関係がよくなかった:27.0%
・仕事が自分に合わない:21.9%
※引用:独立行政法人労働政策研究・研修機構「若年者のキャリアと企業による雇用管理の現状」P234より
と、なります。
それぞれ項目自体は似通っていますが、離職理由となった項目が性別・年次により異なっていることが特徴です。
各項目から、どんな価値観を大切しているか考察すると
■労働時間、休日、休暇の条件がよくなかった
└自分のペースを重視して生活を送りたい
■仕事が自分に合わない
└必要な知識やスキルを身につけて活躍したい、仕事を確実に進めていきたい
■人間関係がよくなかった
└フラットな社風のもとで、お互いの価値観や個性を尊重し合える・助け合える
■賃金の条件がよくなかった
└高い成果を出し適切に評価されたい
総合すると「自分らしく、着実に生きる」「和を重んじる」「(年齢関係なく)結果が公平に評価される」という価値観が見えてきます。
人材募集記事に求められるポイント
求人の募集記事を制作する立場としては、近年の「働き方改革」に代表されるように、労働時間・残業時間の削減やコンプライアンス遵守は、若手社員の価値観にマッチしていると考えます。
しかし、一方で様々な求人媒体の記事に書かれた「求める人材」を見てみると
■主体性の高い人
■コミュニケーションを上手にとれる人
と、記載されていることがとても多く感じます。
自らアクションでき周囲を巻き込める人材は、どの企業でも重宝されるもの。「自分らしさ」「着実」を重視する姿勢は「受け身」と捉えられるかもしれません。
ですが、注目すべきは若手が「成長したい」「活躍したい」という意欲を確かに持っていることでしょう。そう踏まえれば、『入社後、どんな風に成長できるか(成長して活躍している社員がいるか)』をイメージしやすいように伝えることで、新卒学生が大切にする価値観に訴えかける記事づくりに役立つと考えます。
なかなか言葉にしにくい「社風」「雰囲気」「チームワーク」といった“その企業らしさ”を文章や画像で具体化しながら、より「届き」「伝わる」人材募集記事の制作に取り組んで参ります。
〈引用・参考〉
厚生労働省「学歴別就職後3年以内離職率の推移」独立行政法人労働政策研究・研修機構「若年者のキャリアと企業による雇用管理の現状」P234より
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